児童相談所が不要な社会へ

児童相談所が不要な社会へ

 私が取り組む重要課題の1つ、児童虐待について、常任委員会で質疑しました。本県の児童相談所における虐待相談受付件数は増加し続けており、H29年度の1929件に対し、H30年度は2425件に上りました。

 事態を重く見る議会では、児童相談所の機能強化=「虐待の早期発見・早期対応」=が叫ばれています。しかし、子供が傷つけられてからの対応では、根本的な解決には至らず、「対症療法」に過ぎないのです。

保護者のケアが必要

 そもそもなぜ虐待が起こるのか。この「なぜ」の探求こそが「原因療法」。ここに踏み込まない限り、傷つく子供は後を絶ちません。虐待をしてしまう親も、過去に自分が受けた「不適切な養育」により傷つき、虐待を連鎖させる傾向が見受けられています。虐待を起こしてしまいそうな保護者との信頼関係を築き、その思いを受け止め、必要とあれば保護者自身をケアし、場合によっては医療機関などにもつなぐ。保護者自身の心の傷を癒していくことこそが、「原因療法」です。これが出来れば、虐待の連鎖を断ち切れると考えます。

 私のこの指摘に県は、児童虐待を未然防止するのは、市町村との連携が不可欠との認識の上、乳幼児検診などの機会を通じて保護者のフォローを市町村と共同で行っていくと答弁。さらに児童虐待を起こす恐れがある保護者を見極められる、人材育成のための研修に取り組んでいくとしています。

 家庭内に踏み込む必要もある困難な課題ゆえ、根絶への決意と優しさが鍵。子も親も守り、児童相談所が不要な社会を目指します。