コロナ対策の矛盾解消を
近年の深刻な社会問題の一つが労働人材不足ですが、そこに追い打ちを掛けるようなコロナ対策に着目し、知事に質問趣意書で提言しました。
雇用調整助成金等は、事業の縮小を余儀なくされた事業主が「一時的な雇用調整」により、雇用を維持させながら休業手当費用を助成する制度です。コロナ対策の影響で業績不振の事業者には、この制度で従業員を解雇させることなく、人材を確保出来るため、事業主は助かっています。
この制度で守られた労働力は「休眠状態」にあります。コロナ禍で雇用状態をキープさせながら、コロナが過ぎ去るのをじっと待って、いずれ収束すれば、コロナ前の日常が戻るってくることが大前提の制度です。しかし今後の「新たな生活様式」で先行き不透明。
相次ぐ変異株の発生もありコロナ禍の収束は、非常に複雑で判断が難しいとされています。収束の定義すら、明確に出来ないのが現状です。
休眠状態の労働力
一方、R元年をピークに労働力人口の減少時代に突入したわが国では、人手不足により、建設業や運送業・介護福祉業等では、業績は良くても廃業をせまられる事業者も現れています。
そんな中、本県におけるコロナ対策の雇用調整助成金等の支給決定件数は、合計で22万件余り。合計支給額は、県内だけで2069億4千万余円(本年9月10日時点)。
県は、この助成金が適用された人数を把握していません。しかし、この支給額を1人/1日あたりの最大支給額1万5千円で割り、さらにその人数を最初の緊急事態宣言から約17ヶ月×毎月の就労日数25日で割ると約3万2千人。要するに、どんなに少なく見積もっても3万人分の労働力が1年半もの間、休眠状態でいることになります。
もしも、この労働力が新たな就労先に移動すれば、人材難は解消。財政的にも公費の支出を抑制し、事業者も従業員も納税額が増えます。
この支援制度の原資は公費ゆえに、社会全体の利益を考えなければなりません。だとすれば、休眠状態の労働力を人手不足にあえぐ業界に誘導出来れば、経済活性化にも財政的にも有益です。労働力の「休眠」ではなく「移動」を促すべき、と知事に訴えました。