vol23 マンションの住生活を守れ/ 集合住宅でも脱炭素を

戸塚区県会議員 議会報告 マンションの住生活を守れ 北井

管理組合へ建設の専門知識の支援を

国の法改正を受け、県の基本計画の中に「マンション管理適性推進計画」が新設され、県は市町村の管理計画策定の支援を行うようになります。そこで県議会での質疑に臨みました。

北井もマンションに住んでおり、令和3年度は管理組合の理事を経験しましたが、大規模修繕など改修工事の際には、専門家など、第三者によるチェックやアドアイスが非常に重要です。
機体の住むマンションは築37年ですが、理事会が機能している上に、建設関係に精通している方がいらっしゃるため、その方からアドバイスを受けながら大変お世話になっております。しかし、そうでなければ管理組合は難儀すると感じます。実際、管理組合が機能していないマンションの住民からは「修繕計画が進まない」などの相談が、これまで何度かありました。

工事見積の内容精査も困難

そこでまず、この計画による管理組合への支援内容を確認。
担当課長は「管理組合への支援策として、マンション管理士等の専門家によるアドバイザー派遣や、マンション管理・再生セミナーの開催、管理組合の交流会と意見交換を行う」、とのこと。
しかし、建設関係の専門家がいなくて困っているマンションには、もっと具体的にリアルな支援が必要です。

積立金と財産を守るため

修繕工事の際には、建設業会に知見がなければ、見積書の内容を精査することも出来ずに、言い値価格で契約させられないかが心配です。また何年かに一度の大規模改修工事は不可避ですが、建設業会に明るい方がいなければ、マンション管理会社の「言われるがまま」になりかねません。もしも、悪質な管理会社の手に掛かれば、あれよあれよと修繕積立金は無くなってしまいます。
そこで、そのような事例を交えながら、「建設関係の専門家がいない管理組合への行政による支援などが必要である」と訴えました。また、住民の高齢化により修繕への意欲・モチベーションが低下してしまい、管理組合が機能不全になりかねない場合もあることも申し添えました。
今回、県が新設する計画の施策展開に機体しつつ、市町村における計画策定の支援にも県がしっかりと取り組んで、県民の住生活を守るよう求めました。

マンション管理計画認定制度について

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が改正され、令和4年4月から、「マンション管理計画認定制度」が創設されることとなりました。
「マンション管理計画認定制度」とは、マンションの管理計画が一定の基準を満たす場合に、適切な管理計画を持つマンションとして認定を受けることができる制度です。認定を取得することで、下記の効果が期待されます。

  • 区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持向上しやすくなる
  • 適正に管理されたマンションとして、市場において評価される
  • 適正に管理されたマンションが存在することで、立地している地域価値の向上に繋がる
  • 住宅金融支援機構の「フラット35」及びマンション共用部分リフォーム有志の金利の引下げ等(令和4年3月時点で検討段階)
  • *なお、認定を受けることができるのは、自治体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にあるマンションです。

    戸塚区県会議員 議会報告 脱炭素へ 北井

    集合住宅でも脱炭素を

    あまねく住宅で「電気自動車」や「太陽光発電」の促進を

    「脱炭素」と言うが易しも、実現するには「出来ることは直ちに実行する」が求められます。県では「2050年脱炭素社会の実現に向けて、県民の皆様、企業・団体の皆様、県内市町村および県がそれぞれの活動に沿った脱炭素に資する行動を進め、オール神奈川で大きな社会変革を起こしていく」としています。しかし、これまでの県のビジョンや計画案の内容について、マンション等の集合住宅が取り残されていると感じるのは、北井だけではないと思います。

    そこで知事に対する質問趣意書を、R4年2月25日付けで提出。その後3月19日、NHKの報道で『EV充電・マンション設備で最大400万円の補助金の方針・経産省』とありましたが、その時点での内容は不明瞭。そして知事からは、3月24日付けで答弁書が提出されました。質問趣意書と答弁書の概要は、以下の通りです。

    集合住宅の駐車場へ充電設備の整備

    EVの普及は、全世界的なトレンドであり、この流れは止まらないと考えます。知事は、2030年までに、県内で販売される新車乗用車の全電動車化(※)を目指すとし、次年度当初予算案で「電気自動車等の導入促進」のため、電気自動車等のEV充電設備の整備に対する補助を打ち出しました。しかし対象は、商業施設等への急速充電設備です。全電動車化を達成するためには、すべての住宅、とりわけ本県では、割合が高い集合住宅へのEV充電設備の整備も考慮すべきです。
    ※電動車=EV(電気自動車)、FCV(水素などの燃料電池自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)マンション等の駐車場への整備には、住民の合意形成が必要で、相応の時間が必要です。だからと言って、集合住宅の住民は水素自動車(FCV)かハイブリッド(HV)だけにしましょう、とは言えますまい。そこで集合住宅に対しても、一刻も早く対策を講じるよう促しまし
    た。

    財政支援&アドバイザー派遣を

    それに対し知事は、集合住宅へのEV充電設備の導入について、「国の補助があっても費用負担が課題、管理組合がどう取り組めばよいか分からない、住民の合意形成が難しい」、等の認識を示しました。そして、『①管理組合の費用負担を極力抑えるための財政支援の充実、②意思決定や補助金申請の手続きを支援するアドバイザーの派遣、など総合的な支援策の構築を国に求める』、という旨の回答をしました。

    再生可能エネルギーの導入

    太陽光等の再生可能エネルギーの導入も含め、マンション等の集合住宅に対する本県からの脱炭素化アプローチも遅れています。また、マンション管理会社に確認したところ、マンションへの再生可能エネルギーの導入はほとんど進んでいないそうです。太陽光発電は、建物の構造や周辺環境によって向き・不向きはありますが、低層マンションでは屋上利用が、高層マンションでは壁面利用が有効なのは言うまでもありません。一般的な費用対効果では、太陽光発電と蓄電池との併用により3割程度の金銭的な負担減が可能な場合もあります。削減した負担分を修繕費に回せば一石二鳥です。
    本県でも、薄膜太陽電池普及拡大プロジェクトを実施し、壁面等の活用も促しています。薄膜タイプをはじめ、太陽光パネルは軽量性・フレキシブル性・耐久性・効率性・等々は進化し続けています。

    補助制度を再開へ

    そこで一戸建てだけでなく集合住宅でも、すべての住宅=オール神奈川で脱炭素社会を目指せるよう、提言しました。そして知事は、『休止していた集合住宅への補助制度=「共用部分で自家消費する太陽光発電および蓄電池の導入」=をR4年度は再開させ、費用負担を軽減することで導入を促進していきたい』、と回答しました。今後も、あまねく住宅で「電気自動車」や「太陽光発電等の再生可能エネルギー」を促進出来るよう、取り組んで参ります。