なぜ「モチノキ」は守れなかったのか?
なぜ「モチノキ」は守れなかったのか?
本年2月10日、地元の皆様に親しまれている県指定天然記念物の「益田家のモチノキ(戸塚区柏尾町)」の一部が、所有者の関係者により無許可で伐採される事件がありました。この件を所管する県議会・文教常任委員会で質疑しました。
県文化財保護条例では、指定重要文化財は、県教育委員会の許可なく現状変更=伐採することに罰則を規定しており、条例違反の疑いで県警が捜査中です。
この「モチノキ」は、元々の所有者が手放さざるを得なくなって以来、ここ数年、所有者が転々としていました。そして県は、新たな所有者に対し、口頭でこの条例および罰則を説明するとともに、文書でも条例に基づく勧告を行った、とのこと。しかし、無許可で伐採されてしまったのです。
このことによる県条例の罰則規定は「5万円以下の罰金又は科料」という軽微なもの。しかも伐採者は、その行為が犯罪であることと罰則内容を、県から事前に通告されていたのです。
文化財行政の意識改革を
常任委員会で、まず申し述べたのは、県行政のみならず我々議員も、そして文化財保護法をはじめ関係法令に関わる全ての関係者は、猛省しなければならない、ということ。なぜならば、このような軽い罰則の中で、民地に存在する文化財や天然記念物は、所有者が替わっても当たり前に「守ってもらえるもの」という認識だったであろう、との思いからです。「指定」さえしてしまえば、あとは未来永劫残り、守られる、というわけではないのですから。
地元のみならず、県民のかけがえのない財産が、このようになってしまった以上、民地に存在する文化財・天然記念物を守るためには、当面、民間所有者への罰則規定の強化が有効だと考えます。早急の対策強化を求めております。
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