罰則強化で文化財を守れ

罰則強化で文化財を守れ

 県は「益田家のモチノキ」が枯死したことから、先月県指定天然記念物を解除。これを受け8月6日、地域の皆様に親しまれてきたこの歴史的樹木は伐採されました。本紙8月22日号は、柏尾町住民の方と戸塚区が連携し、伐採前の樹木の枝を採取。クローン増殖を行う専門機関で再生に成功させたことを伝えています。住民の皆様に心より敬意を表します。

条例改正では不充分

 そもそも今回の事態は、平成29年2月、その時点の所有者の関係者が無許可で「モチノキ」の一部を伐採したことが始まり。私は直後にこの件を所管する県議会常任委員会で質疑を行い、「文化財や天然記念物なら民地にあっても棄損されることはないはず」という甘い認識を、県行政、議員、文化財保護法をはじめ関係法令に関わる全ての関係者は猛省する必要があると指摘しました。そして強く求めたのは再発防止のための罰則強化。本紙同年3月23日号でも私の考えをご報告しています。

 県は平成31年4月1日、「益田家のモチノキ」の損壊、国が文化財保護法の一部改正をしたことを踏まえ、県条例の改正を実施。強化したのは罰則金の引き上げ。「県指定重要文化財の損壊・毀棄・隠匿」をした場合、これまでの5万円以下を原則(所有者以外)30万円以下、所有者は15万円以下としています。

 県が対策強化したことは評価しつつも、今回のように違反を承知の上で文化財よりも経済面を優先された場合、罰則金では守れません。懲罰刑を含めた罰則強化が必要。県には国と連携しながら適切な対応を取るよう求めます。